今回の記事では、3万円台と競争率の高い価格帯にある「Ryzen 5 5600X」というCPUについて「どのくらいのことができるの?」「Intel製のCPUと比較して何が違うの?」といった疑問に答えます。
以下の項目を踏まえておすすめノートPCも合わせて紹介するので参考にしてください。
当サイトでは「予算15万円~20万円で買えるゲーミングPC」を紹介していますので、あわせてご覧ください。
\Ryzen 5000シリーズ搭載おすすめモデル/
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
mouse DT6 | Ryzen 5 5600G | AMD Radeon Graphics | 8GB | 256GB SSD |
XA5R-R36T | Ryzen 5 5600X | RTX 3060Ti | 16GB | 1TB SSD |
mouse B5-R5 | Ryzen 5 5625U | AMD Radeon Graphics | 8GB | 256GB |
Ryzen 5 5600Xの基本スペック
世代 | 第4世代 |
開発コード | Vermeer |
コア数/スレッド数 | 6コア12スレッド |
動作周波数 | 3.7GHz |
最大動作周波数 | 4.6GHz |
TDP | 65W |
内蔵グラフィックス | なし |
PassMark CPU Markスコア | 21782 |
Zen3アーキテクチャを採用した最新式の第4世代は、L3キャッシュ(仮想メモリのようなもの)が大きく、処理能力に余裕をもたせやすいモデルが揃っています。
「Ryzen 5 5600X」は、内蔵GPUを持たないデスクトップ専用CPUですが、「Ryzen 5 5600G(末尾がG)」のような内蔵GPU搭載型モデルもあり、グラボなしPCのニーズにも応えられるバリエーションの豊富さも魅力です。
2022年現在のスペックとしてはミドルクラスに位置し、価格もそこまで高くなくゲームや動画配信を不自由なく行えるので、コスパを求める方におすすめのモデルです。
Ryzen 5 5600Xのベンチマーク
ここでは「Ryzen 5 5600X」とIntel製CPUや上位モデルと比較したベンチマークを紹介します。
ここでのスコアを参考に、自身が想定する用途に対してオーバースペックなのか、スペック不足なのかを判断してみてください。
Ryzen 5 5600XのCPU Markスコア
PassMarkは、重い計算処理や動画処理など、CPUを様々な用途で使用した場合の総合的なスコアを評価しています。
基本的にこの値が高いほどCPUの性能が総合的に高いと思っていいです。
未だにゲーミングPCのCPUとしても現役の「Intel Core i7-11700」よりも高いスコアを出し、前世代の高性能モデル「AMD Ryzen 7 3700X」と同等のスコアを出しています。
第4世代のチップを使用しているだけあって、第3世代Zen2の高性能モデルと同等の性能を発揮し、価格も第4世代の中では低く抑えられているのでコスパに優れていることがわかります。
Ryzen 5 5600XのCinebench R23(マルチコア)スコア
Cinebench(マルチコア)で計測するスコアの主な指標は「マルチコアの性能」です。
マルチコアとは、CPUの頭脳の数のことを指し、マルチコア性能とはそれぞれのCPUの並列処理能力のことを指します。
このスコアが高いと、複数のアプリ動作などのマルチタスクに優れます。
マルチコア性能になると一転して「Intel Core i7-11700」や「Intel Core i7-10700」に約10%ほどの差がつけられました。
上記のIntel製CPUは8コア16スレッドと、「Ryzen 5 5600X」の6コア12スレッドより基本的なCPUのコア数で勝っているため妥当な結果と言えます。
そのため、複数のアプリを起動する機会が多いゲーム動画配信などには「Intel Core i7 10世代」のような、コア数が多いCPUのほうが優れます。
かといって「Ryzen 5 5600X」で動画配信は出来ないというわけではなく、設定次第で快適に動画配信を行えるレベルのスペックはあります。
Ryzen 5 5600Xの価格推移
Ryzen 5 5600Xの価格推移は以下のとおりです。
半導体の供給不足による価格高騰もだんだんと落ち着いてきたので、上位モデルが出てきていることも相まって最安値は3万円を割ってきていることがわかります。
2020年11月に発売された当初は約4万円だったことを考えると、価格が3万円を切る今が買い時といえます。
Ryzen 5 5600XはRTX3070に対してボトルネックになるのか
デバイス比較サイトを参照すると、「Ryzen 5 5600X」は「RTX 3070」が本来発揮できるfpsの約10%が損失(ボトルネック)になっていることがわかります。
CPUを上位モデルにすることで、あらゆるゲームで約10~20fpsほどの上昇が見込めますが、そこまで気にするボトルネックではなく「相性が良い」といえる範囲です。
スペックとトレードになりますが、「RTX 3060・3060Ti」にランクダウンすることにより、ボトルネックはほぼ無くなりコストも抑えられるのでおすすめのグラボです。
GPUに対してCPUは価格が安めということもあって、とりあえず高性能な「RTX 3070」を搭載して、価格を抑えた「Ryzen 5 5600X」で様子見という方法もありで、つなぎのCPUとして不自由はありません。
若干GPUのランクを落としても問題ない方は本記事でも紹介している「XA5R-R36T」で最高のコスパが実現できるので、ゲームが高品質でプレイできれば良いからハイエンドまで求めていない方におすすめです。
Ryzen 5 5600XとIntel Coreシリーズ比較
ここでは、「Ryzen 5 5600X」と同じくらいのスペックのIntel製CPUを比較し、どのようなところが優れ、劣っているのかを解説します。
Ryzen 5 5600X vs Core i7-11700
世代 | 第4世代 |
コア数/スレッド数 | 6コア12スレッド |
動作周波数 | 3.7GHz |
最大動作周波数 | 4.6GHz |
TDP | 65W |
CPU Mark | 21782 |
Cinebench R23(マルチコア) | 10988 |
世代 | 第11世代 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
動作周波数 | 2.5GHz |
最大動作周波数 | 4.9GHz |
TDP | 65W |
CPU Mark | 19345 |
Cinebench R23(マルチコア) | 14327 |
基本的なコア数と、動作周波数の違いではっきりとマルチコアとシングルコアの処理速度に差が出ています。
「Ryzen 5 5600X」は動作周波数が3.7GHzとかなり高めで、一つ一つのコアの処理能力が優れているので、重めの処理に耐えられる設計です。
一方で「Core i7-11700」は8コア16スレッドとコア数が多く、それに伴いマルチコアのスコアは良いですが、動作周波数が2.5GHzと抑えめなので、総合的な能力で見ると「Ryzen 5 5600X」には若干劣ります。
これによってわかることは、負荷が高めの処理は「Ryzen 5 5600X」が優れていますが、複数アプリの同時起動などのマルチタスクは「Core i7-11700」が優れているということです。
Ryzen 5 5600X vs Core i7-10700
世代 | 第4世代 |
コア数/スレッド数 | 6コア12スレッド |
動作周波数 | 3.7GHz |
最大動作周波数 | 4.6GHz |
TDP | 65W |
CPU Mark | 21782 |
Cinebench R23(マルチコア) | 10988 |
世代 | 第10世代 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
動作周波数 | 2.9GHz |
最大動作周波数 | 4.8GHz |
TDP | 65W |
CPU Mark | 15578 |
Cinebench R23(マルチコア) | 12250 |
第10世代のintel製CPU「Core i7-10700」と比較した場合も、「Ryzen 5 5600X vs Core i7-11700」と同じような結果になります。
どちらのIntel製CPUにも言えることですが、両モデルは「高負荷時の動作周波数」が「Ryzen 5 5600X」よりも高いことも特徴です。
これにより一時的にかなりの高速処理は可能ですが、消費電力が激増し発熱が非常に大きくなるので、CPUクーラー性能や電源ユニットの容量も非常に大事になってきます。
冷却が不十分だと、高い周波数のCPUは逆に熱がこもって性能が落ち、電源容量が足りないとPCが落ちることもあります。
そのため、CPUクーラーや電源ユニットへの出費もかさむところが「Ryzen 5 5600X」より「Core i7-10700」「Core i7-11700」が共に劣っているところです。
その点「Ryzen 5 5600X」は高めの動作周波数と、通常利用に差し支えない最大動作周波数によって、安定した処理が可能です。
Ryzen 5 5600Xが向いている用途
「Ryzen 5 5600X」は結局どのような用途に向いているのか簡単にまとめるとこうなります。
「Ryzen 5 5600X」は内蔵GPUが無いCPUなので、性能に見合う「RTX 3060」あたりのGPUを搭載した場合の結果になります。
用途 | 解説 | 評価 |
インターネット(動画閲覧・ショッピング) | YOUTUBE等で動画を観ながらの、ショッピング | |
ビジネス(Officeソフト・Web会議など) | Officeソフトでの資料作りをしながらの、Web会議 | |
ゲーム | 3Dグラフィックを駆使した流行りのゲーム | |
動画・画像編集 | フルHDでの動画や画像編集 またはゲームの動画配信 | |
3D制作 | 3D CADやBlenderなどを使用した3Dモデリング |
上記を踏まえて結論を出すと、ゲーム用途とある程度のクリエイター作業も問題なく可能なCPUです。
現状このクラスのCPUはゲーミングPCの中ではミドルクラスに位置するスペックを持っているので、ゲームの要求スペックに困るということはありません。
ゲームが快適にこなせるということは、動画編集などのクリエイターとしての作業も問題なくこなせます。
重要なのは、このCPUに見合ったGPUを積むことで、「RTX 3060」あたりの性能であれば、十分に能力を発揮できます。
価格も安くなってきているので、「Ryzen 5 3000シリーズ」からコスパを求めて乗り換える選択肢の一つとしておすすめのCPUです。
Ryzen 5 5000シリーズ搭載おすすめパソコン
Ryzen 5 5000シリーズには、内蔵グラフィック搭載型の「Ryzen 5 5600G」や、ノートPC向けCPUの「Ryzen 5 5625U」もあるので、代表的なモデルとしておすすめのPCを各種紹介します。
自身の予算や用途に応じてPC選びの参考にして下さい。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
mouse DT6 | Ryzen 5 5600G | AMD Radeon Graphics | 8GB | 256GB SSD |
XA5R-R36T | Ryzen 5 5600X | RTX 3060Ti | 16GB | 1TB SSD |
mouse B5-R5 | Ryzen 5 5625U | AMD Radeon Graphics | 8GB | 256GB |
【普段使い】mouse DT6
グラフィック : AMD Radeon Graphics
メモリ : 8GB
ストレージ : 256GB NVMe SSD
内蔵グラフィック搭載の「Ryzen 5 5600G」を採用したビジネス用PCです。
資料作りはもちろん、簡単な動画編集までこなせるスペックを持っているので、仕事用のPCとしてはハイスペックな構成です。
標準搭載のSSDの容量が256GBなので、動画を扱うには不安があるため、オプションで容量を増やすことで更に快適になります。
注意点として、グラボが無いモデルなのでゲーム用途としての使用は向きません。
【ゲーミングPC】ガレリア XA5R-R36T
グラフィック : RTX 3060 Ti
メモリ : 16GB SDRAM
ストレージ : 1TB NVMe SSD
「Ryzen 5 5600X」の性能に見合うコスパ最高の「RTX 3060Ti」を搭載した、ゲーミングPCです。
ゲーミングPCの中ではミドルスペックに位置し、大容量の1TB SSDを積んでいるので、流行りのゲームで要求スペックが足りないということにはならない性能の高さを誇ります。
中設定でゲームをするのであれば、動画配信にもリソースを割ける余裕があるので、ストリーマーとしても活動をしたい方にもおすすめです。
ビジネス用途としても、3Dグラフィック作成ツールに耐えられるので、ビジネス・ゲーム・ストリーマー活動と幅広く活躍し、価格も20万円台とコスパに優れたモデルです。
【良バランス】mouse B5-R5
グラフィック : Radeon グラフィックス
メモリ : 8GB
ストレージ : 256GB NVMe SSD
モニター:15.6型
バッテリー駆動時間:約7.5時間
重量:約1.62kg
「Ryzen 5 5600U」のマイナーチェンジモデル「Ryzen 5 5625U」を採用した、ビジネス用ノートPCです。
スペック的には「Ryzen 5 5600X」と比べると省電力で動画周波数を抑えた「モバイルPC向けCPU」といった構成で、資料作成・軽めの動画編集を問題なくこなせる性能を持っています。
重量は約1.62kgと軽く、駆動時間は約7.5時間と長寿命なので、出先でのビジネス利用にとても優れます。
注意点として、動画を扱う場合はオプションで「SSDの増設」をすることをおすすめします。
デフォルト256GBのストレージは動画を扱うには容量が小さいので、快適な動画作業を目指すのであれば最低でも512GB以上はあると安心です。
Ryzen 5 5600Xの比較・レビューまとめ
今回の記事では「Ryzen 5 5600X」の性能を解説し、同シリーズを搭載したおすすめPCを紹介しました。
以下おすすめモデルのおさらいと、まとめです。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
mouse DT6 | Ryzen 5 5600G | AMD Radeon Graphics | 8GB | 256GB SSD |
XA5R-R36T | Ryzen 5 5600X | RTX 3060Ti | 16GB | 1TB SSD |
mouse B5-R5 | Ryzen 5 5625U | AMD Radeon Graphics | 8GB | 256GB |
- ゲーム用途としてはミドルクラスなので、スペック不足でプレイできないゲームはない
- 最新世代のCPUで、コア数が抑えられているので価格が安め
- ライバルとなるIntel製のi7第10・11世代CPUには、消費電力と発熱量で上回る
- 総じて安定した性能と価格面でコスパを求める方におすすめのCPU
発売当初は4万円もした「Ryzen 5 5600X」ですが、2022年7月現在は3万円前後まで価格が落ち着いたこともあり、競争率の高いミドルクラスCPUの選択肢に入ってきました。
AMDのソケット「AM4」を採用したマザーボードは、対応CPUが豊富で汎用性が高いこともあり、AMD Ryzen CPU人気の理由でもあります。
一昔前のRyzen 5 3000シリーズなどを使用していた方は、この機会に乗り換えてみてはいかがでしょうか。