今回の記事では、「3D CADってどのくらいのスペックが必要?」「本格的な3Dモデルを使った開発用PCってどのくらいのスペックがあれば良い?」などの疑問に以下のポイントを踏まえて解説します。
また「クリエイター向けおすすめPC」では、用途や予算別で推奨モデルをまとめているので、こちらも参考にしてください。
厳選おすすめ3モデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
DAIV FX-I5G50 | Core i5-13400F | RTX 3050 | 16GB | 512GB NVMe SSD |
DAIV S4-I7G60CB-B | Core i7-13700H | RTX 4060 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
DAIV FX-I7N2A | Core i7-13700F | NVIDIA RTX A2000 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
CAD制作におすすめのクリエイターパソコン
ここではCAD制作で使用できるモデルを、エントリークラスから本格的な作業が可能なプロモデルまでを紹介します。
一般的にゲーミングPCに採用されるようようなGPUではない特殊なGPUを搭載したモデルもあり、価格もそれに伴い高くなるので、自身が求める環境にあったモデルを選んでみてください。
CAD制作におすすめのデスクトップパソコン
デスクトップ型のクリエイターモデルを紹介します。
デスクトップのメリットである拡張性の高さや、高性能パーツを搭載しやすい部分を強みに出したモデルが多いので、スペック重視の方におすすめです。
厳選おすすめ3モデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
DAIV FX-I5G50 | Core i5-13400F | RTX 3050 | 16GB | 512GB NVMe SSD |
DAIV FX-I7G60 | Core i7-14700KF | RTX 4060 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
DAIV FX-I7N2A | Core i7-13700F | NVIDIA RTX A2000 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
【初心者・入門向け】DAIV FX-I5G50
グラフィック : RTX 3050
メモリ : 16GB
ストレージ :1TB (NVMe)SSD
CAD用途のエントリークラスモデルで、CADソフトを動かすためにメモリ32GBと第12世代i7CPUを搭載しています。
3D CAD用途でいうと機械部品などの規模が小さめの設計であれば可能です。また、2D CAD用途では快適に作業が可能です。
本格的な建築物の設計などにはスペック不足ですが、そこまで大きな設計をしないのであればこのクラスがコスパがよくおすすめです。
【3D CAD制作も快適】DAIV FX-I7G60
グラフィック : RTX 4060
メモリ : 32GB
ストレージ : 1TB (NVMe) SSD
RTXシリーズの中でもVRAMが大きめの「RTX 4060」を搭載したクリエイター向けPCです。
一般的なGPUに比べて豊富なVRAMを搭載しているので、機械部品だけでなく乗り物などの設計までいけるくらいのスペックがあります。
BIM処理(建築物の施工状況・計画などをリアルタイムで再現し共有する処理)をするにはスペックが足りませんが、このくらいのスペックであれば基本的な3D CAD設計は可能です。
【クリエイター特化のハイエンド】DAIV FX-I7N2A
グラフィック : RTX A2000
メモリ : 32GB SDRAM
ストレージ : 1TB SSD
本格的な3D CADを行いたい方には、クリエイター用GPU「RTX A2000」搭載のこのモデルがおすすめです。
専用GPUによってCADソフトとのスムーズなやり取りが可能になり、レンダリングスピードやソフト自体の挙動が非常にスムーズになるため、作業効率が大幅にアップします。
スペック的には一軒家などの大型建築物に対応できるので、個人で扱う分にはこのくらいのスペックであれば困ることはありません。
CAD制作におすすめのノートパソコン
持ち運びに便利で、作業スペースを取らない3D CAD向けノートPCモデルを紹介します。
厳選おすすめ3モデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
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mouse K5 | Core i7-12650H | MX 550 | 16GB | 512GB SATA SSD |
DAIV S4-I7G60CB-B | Core i7-13700H | RTX 4060 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
DAIV Z6-I7G50SR-A | Core i7-12650H | RTX 3050 | 16GB | 500GB NVMe SSD |
【2D CAD向けエントリーモデル】mouse K5
グラフィック :MX550
メモリ : 16GB
ストレージ : SSD 512GB (SATA)
ディスプレイサイズ: 15.6型
本体重量: 約1.97kg
バッテリー駆動時間: 約8時間
価格が約15万円と手を出しやすく、2D CADであれば十分に快適な動作が可能なモデルです。
USB-Type C給電に対応しているので、モニターなどの周辺機器の電源を持ち歩く必要もなく、手軽に持ち運んで作業を行えるため場所を選ばずコンパクトに使用できます。
3D CADを使用するにはスペック不足ですが、簡単なクリエイター業務が行えるので、サブPCとしてもおすすめです。
【本格的な3D CAD向け】DAIV S4-I7G60CB-B
グラフィック : RTX 4060
メモリ : 32GB
ストレージ : 1TB NVMe SSD
モニター :14インチ
重量 : 1.78g
バッテリー : 13.5時間
ノート向けRTX 4060を搭載し、メモリも32GBあるので本格的な3D CADに使用できるモデルです。
モニターの色域(カバーできる色)が広いので、設計段階と完成品の色味に差が出ないように作れ、イラスト制作にも活躍できます。
3D CADにおいては、一軒家などの中規模設計であれば快適にこなせます。ドームやタワーなどの大型建築にはスペック不足のため、更に上のスペックが必要です。
【3D CAD・高解像度の画像編集向け】DAIV Z6-I7G50SR-A
グラフィック : RTX 3050
メモリ : 16GB
ストレージ : 500GB NVMe SSD
モニター :16インチ
重量 : 1.59g
バッテリー : 14.5時間
大型で見やすい16インチの画面を採用したクリエイターモデルです。
3D CADにも中規模の設計までなら快適に使用でき、高解像度モニターを活用した画像・動画編集にも優れます。
本格的な3D CAD設計にはメモリは最低でも32GBあると安心できるので、構成変更から最大64GBまで増設できるため、3D CAD用とするのであれば増設を検討しましょう。
3D CAD制作向けクリエイターパソコンの推奨スペック
CPU | Intel Core i7 第10世代以上 |
メモリ | 32GB以上(64GBが理想) |
グラフィックボード | NVIDIA GeForce RTX 3060以上 AMD Radeon RX 6000以上 NVIDIA RTX A2000以上/大規模建築はA4000以上 |
3D CADにおけるスペックは、ゲーミング用途よりも物理メモリとVRAM容量の大きさが要求されます。
CPUの演算処理ももちろん重要ですが、大量のオブジェクトを管理し計算するには、物理メモリとVRAMの容量が必要なので、このメモリ関係のスペック次第で大きく所要時間が変わります。
上記に記載した推奨スペックは、あくまでもこのくらいであればカクカクで仕事にすらならない状況にはならないという目安です。
そのため、どんな状況でも快適に動作させないといけなかったり、大型ドームやタワーなどの巨大建造物に携わるようなプロの方は、RTX A6000(グラボだけでなんと60万円)クラスのGPUが必要になってきます。
CAD制作向けクリエイターパソコンの選び方
ここでは主に3D CADをメインとした用途でパソコンを選びたい方へ向けての、選び方を解説します。
- CPU・メモリ・GPUのスペックで選ぶ
- デスクトップパソコン・ノートパソコンから選ぶ
- OSで選ぶ
CPU・メモリ・グラフィックボードのスペックで選ぶ
まずはこの3つのパーツがPC自体の性能を決めると言っていいでしょう。
各パーツごとに2D・3D CADで使用する場合のおすすめスペックなどを紹介します。
CPU
CPUは現在販売されているモデルの中から選ぶのであれば、「intel Core i7 12世代」「AMC Ryzen 7 5000シリーズ」以上、もしくはプロの方には「intel Xeon」がおすすめです。
「intel Xeon」というCPUは聞き慣れないかもしれませんが、簡単に説明すると法人(プロ)用のサーバーや開発者向けに使用されるintel製CPUの独立したシリーズです。
一例を上げるとXeonのハイエンドモデル「intel Xeon Platinum 8368」は、38コア76スレッドという極端に多くのコアを搭載し、並列処理能力に重点を置いています。
また、物理メモリに一時的なデータを保存する「ECC(Error Checking and Correcting)」機能を搭載しているので、24時間365日の稼働が必要なサーバー用CPUであったり、重要なデータを作成する3D CADの設計図やゲーム開発のPCに採用されています。
メモリ
メモリは3D CADにおいてはオブジェクトの計算処理をするための作業スペースを確保するために存在し、複雑なオブジェクトが組み合わさった3D CAD環境では、普段使いやゲーム用途では比較にならないほどのスペースが必要になります。
3D CADするならメモリはとにかく多く積んでおけとよく言われるのはこのためで、最低でも32GBもしくは64GBあるのが理想です。2D CADであれば16GBあれば十分でしょう。
メモリ自体の価格はPCパーツ全体で見れば安い(8GB×2枚で約8,000円~)ので増設しやすいため、予算が許す限り増設をしておいたほうが3D CAD用途以外でも安定するのでおすすめです。
グラフィックボード
グラフィックボード(グラボ)は、CADにおいてオブジェクトの位置や形を正確に描写したり、設計変更した場合の反映に演算処理をする役割を担っています。
GPU自体の演算処理に使用するコア数と、メモリ(VRAM)の容量が非常に重要で、特にメモリ容量は足りないと動作がカクつく原因となりまともにソフトが動きません。
2D CADにおいてはそこまで大きなグラフィックへの負荷はかからず、計算量も減るため「MX 550」クラスのノート向けGPUでも快適に動作します。
3D CADにおいて理想的なGPUは「NVIDIA RTX Aシリーズ」です。
NVIDIA RTX A2000 | CUDAコア数:3328、GPUメモリ容量:6GB |
NVIDIA RTX A2000 12GBモデル | CUDAコア数:3328、GPUメモリ容量:12GB |
NVIDIA RTX A4000 | CUDAコア数:6144、GPUメモリ容量:16GB |
NVIDIA RTX A4500 | CUDAコア数:7168、GPUメモリ容量:20GB |
NVIDIA RTX A5000 | CUDAコア数:8192、メモリ容量:24GB |
NVIDIA RTX A5500 | CUDAコア数:10240、メモリ容量:24GB |
NVIDIA RTX A6000 | CUDAコア数:10752、メモリ容量:48GB |
よく見るGeforceシリーズとは違い、クリエイターや開発者向けのプロ用GPUで、GeforceシリーズよりもVRAMやコア数が圧倒的に多く、価格もプロ用なだけあって高価です(A6000は約60万円)。
特にハイエンドモデルのA6000ともなると、メモリ(VRAM)48GBと見たこともない大容量に驚かされます。
また、3D CADソフトに使用される言語と合わせた通信を行う設計のため、AシリーズはGeforceよりもスムーズな情報のやり取りが可能なので作業効率が変わります。
そのためAシリーズはクリエイター、特に3D CADなどの設計に優れているということがわかります。
Geforceでも「RTX 3060」クラスであればVRAMも多く演算処理も高いレベルでこなせるので、クリエイターモデルによく採用されています。
デスクトップパソコン・ノートパソコンから選ぶ
デスクトップとノートパソコンどちらでCAD作業を行うのが良いか迷っている方は、ここを参考にしてください。
それぞれのメリットとデメリットを挙げるので自身の環境に見合うかどうか、照らし合わせてタイプを選んでみてください。
デスクトップパソコン
BTOショップで購入する際や自作で組む場合に、パーツの増設やスペックアップをしやすい拡張性の広さと、大規模設計にも対応できる高性能パーツを搭載できるところが、デスクトップPCの一番大きなメリットです。
3D CADにおいて要求されるメモリ・CPU・グラボのメインパーツは、高性能なものほど発熱量が多くなりがちですが、デスクトップであれば冷却パーツを複数つけたり、水冷式で対応したりと幅広いのも大きなメリットです。
スペースを取ったり持ち運べないといったデメリットは、性能を考えれば些細なものです。
ノートパソコン
出張先で設計施工管理をする必要がある場合や、自宅のスペースの関係上PCを置くところがないといった方には、ノートPCをおすすめします。
ノートPCという構造上、冷却性能に限界があるため、あまり高性能なパーツは搭載できないので大規模設計などの用途には厳しいですが、一軒家などの中規模設計であれば十分対応可能なモデルは多くあります。
外で使う場合にはスタンダードな14~15.6インチサイズが扱いやすいのでおすすめです。
OSから選ぶ
OSは文句なしにWindows OSがおすすめです。理由は以下の通りです。
- 対応ソフトが多い
- 搭載PCの拡張性が高い
- コスパがいい
Mac OS搭載のPCは基本的に内部をいじれない構造になっており、パーツの交換や増設などに不自由があるため、自分の思うような構成のPCを手に入れられない場合があるのが大きなデメリットです。
基本的に高スペックなPCを必要とする3D CAD用のクリエイターPCは、Macシリーズで購入しようとするとWindows製品よりかなり高額になりがちで、要らない機能なども付属しているためコスパが悪いです。
また、Windows対応のフリーソフトや3D CADソフトもMac OSより多く、汎用性も考えると余程の理由がない限りこれから3D CADをする人にはWindowsをおすすめします。
3D CADはグラボなしでも大丈夫?
結論から言うと「グラボなしでは動きません」。
グラボがなくてもできるクリエイター作業は2D CADや軽めのイラスト制作などです。
なぜ動かないと言い切れるかというと、3D CADソフトの推奨スペックが「RTX 3060」以上ということもありますが、3Dモデルを駆使して数多くのオブジェクトを計算して表示する都合上、グラボの力がないとまともにモデルを表示できないためです。
ただ、先程も言ったように3Dモデルを使用しない2D CADであれば、内蔵GPUやエントリークラスのグラボで十分作業は可能です。
CADにおすすめのクリエイターパソコンまとめ
厳選おすすめ3モデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
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DAIV FX-I5G50 | Core i5-13400F | RTX 3050 | 16GB | 512GB NVMe SSD |
DAIV S4-I7G60CB-B | Core i7-13700H | RTX 4060 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
DAIV FX-I7N2A | Core i7-13700F | NVIDIA RTX A2000 | 32GB | 1TB NVMe SSD |
- 3D CADにはソフトの推奨スペックの都合上「RTX 3060」以上のスペックが必要
- 2D CADであれば内蔵グラフィックでも対応可能
- ゲーミングPCより高額になり、CPUやメモリも要求スペックが高いことは留意しておくこと
3D CADにはゲーム用途とは違って、要求されるPCスペックに違いがあります。
CPUもそうですが、特にメモリ周りの要求スペックが大事で、これが足りないとまともにソフトが動作しなかったり、カクついてまともな作業が行えなえません。
そのため、PCの中では一番コストがかかるということは留意しておきましょう。