今回は「Ryzen 7000シリーズ」のエントリーモデル「Ryzen 5 7600」を詳しく解説します。
こちらの記事にて、当サイトが厳選したおすすめゲーミングPCを紹介しています。ぜひチェックしてください。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|---|
DAIV FX-A5G1B | Ryzen 5 7600 | GTX 1650 | 16GB | 500GB SSD |
G-Tune FZ-A5G60 | Ryzen 5 7600 | RTX 4060 | 16GB | 1TB SSD |
G-Tune FZ-A5G6T | Ryzen 5 7600 | RTX 4060 Ti | 16GB | 500GB SSD |
Ryzen 5 7600の基本スペック
アーキテクチャ | Zen4 |
コア数/スレッド数 | 6コア12スレッド |
定格クロック周波数 | 5.1GHz |
最大クロック周波数 | 3.8GHz |
ソケット形状 | AM5 |
TDP | 65W |
二次キャッシュ | 6MB |
三次キャッシュ | 32MB |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics |
PassMark CPU Markスコア | 27300 |
「Ryzen 5 7600」は、Zen4アーキテクチャで制作され動作クロックが向上している新世代のCPUで、7000シリーズの中ではエントリークラスに位置します。
6コア12スレッドながら高いクロック周波数と、キャッシュ容量も確保しているので、1世代前のCPUのミドルクラスに匹敵するスコアを出しています。
末尾にXがついていないモデルなので、内蔵グラフィックスを搭載しており、ある程度の動画編集や軽めのゲームプレイまで可能。
ソケット形状がAM5なので、旧世代CPUから乗り換える場合マザーボードもAM5対応モデルにする必要があるので注意が必要です。
AMD Ryzen標準のクーラーは使える?
「Ryzen 5 7600」には、リテールクーラー(標準の付属クーラー)が付属しているため、別途CPUクーラーを用意する必要がありませんが、高負荷時の冷却性能に不安があります。
特に夏場でハードな使い方をすると90°近くまでCPUが発熱するので、パフォーマンスが下がる要因になり、寿命を縮める可能性もあるのでリテールクーラーはあまりおすすめできません。
そのため、冷却効率の高いサイドフロー型のCPUファンを別途用意することをおすすめします。筆者の経験上、リテールクーラーからサイドフロー型に変えて高負荷時の温度が10~20℃は変わります。
5,000円もあればお釣りが来るほど安く高性能なサイドフロー型CPUファンは、かなりコスパがよくCPUだけでなくPC本体全体の寿命の向上にもつながるため、買って損は絶対にありません。
Ryzen 5 7600のベンチマーク
ここでは、実際に「Ryzen 5 7600」の性能をベンチマークを使用して数値化し、どのような用途に優れているのかを解説します。
Ryzen 5 7600のCPU Markスコア
PassMarkは、重い計算処理や動画処理など、CPUを様々な用途で使用した場合の総合的なスコアを評価しています。
基本的にこの値が高いほどCPUの性能が総合的に高いと思っていいです。
現在主流のミドルクラス「AMD Ryzen 7 5800X」とほぼ同じ処理能力があることがわかります。このくらいのスコアであれば普段使いから、PCゲーム全般で困ることはないでしょう。
前世代の「Ryzen 5 5600X」からは純粋に約30%ほど性能アップしているので、「Ryzen 5 5600X」からの乗り換えで違いを実感できる優秀なCPUです。
Ryzen 5 7600のCinebench R23(マルチコア)スコア
Cinebench(マルチコア)で計測するスコアの主な指標は「マルチコアの性能」です。
マルチコアとは、CPUの頭脳の数のことを指し、マルチコア処理能力とはそれぞれのコアの並列処理能力を指します。
このスコアが高いと、複数のアプリ動作などのマルチタスクに優れます。
マルチコア処理能力も、同じ6コア12スレッドモデルの中でもかなり高い数値がでました。
これは新世代のZen4アーキテクチャによる恩恵が大きいでしょう。より細かくトランジスタを効率よく配置した作りなので、各コアの処理能力と並列処理能力が同時に向上しています。
このくらいのスコアであれば、ゲームをしながらの動画配信も快適に行える性能です。フルHD解像度であれば、どのPCゲームを配信してもプレイに支障が出るということにはならないでしょう。
Ryzen 5 7600とライバルとなるCPUとの比較
ここでは、「Ryzen 5 7600」とライバルとなるCPUを比較し、どのようなところが優れ、劣っているのかを解説します。
Ryzen 5 7600 vs Ryzen 7 5800X
アーキテクチャ | Zen4 |
ソケット形状 | AM5 |
コア数/スレッド数 | 6コア12スレッド |
定格クロック | 3.8GHz |
最大クロック | 5.1GHz |
キャッシュ容量 | 二次:6MB 三次:32MB |
TDP | 65W |
CPU Mark | 27300 |
Cinebench R23 | 14090 |
価格(2023年9月現在) | 29,800円 |
アーキテクチャ | Zen3 |
ソケット形状 | AM4 |
コア数/スレッド数 | 8コア16スレッド |
定格クロック | 3.8GHz |
最大クロック | 4.7GHz |
キャッシュ容量 | 二次:4MB 三次:32MB |
TDP | 105W |
CPU Mark | 27844 |
Cinebench R23 | 15228 |
価格(2023年9月現在) | 30,678円 |
現在主流の「Ryzen 7 5800X」と「Ryzen 5 7600」を比較してみました。
基本性能は全体的にアーキテクチャの違いが顕著に出ています。コア数の差がありながらもCPU Mark(総合的なパフォーマンス)に差が無いのが驚きです。
流石にマルチコア処理能力には若干の差が出ていますが誤差の範囲です。TDPにも差があり、価格が変わらず消費電力も優秀となると「Ryzen 5 7600」に軍配が上がります。
Ryzen 5 7600 vs Core i5 13400F
アーキテクチャ | Zen4 |
ソケット形状 | AM5 |
コア数/スレッド数 | 6コア12スレッド |
定格クロック | 3.8GHz |
最大クロック | 5.1GHz |
キャッシュ容量 | 二次:6MB 三次:32MB |
TDP | 65W |
CPU Mark | 27300 |
Cinebench R23 | 14090 |
価格(2023年9月現在) | 29,800円 |
世代 | 13世代 |
コア数/スレッド数 | Pコア:6コア12スレッド Eコア:4コア4スレッド |
定格クロック | 2.5GHz |
最大クロック | 4.6GHz |
キャッシュ容量 | 二次:9.5MB 三次:20MB |
TDP | 65W |
CPU Mark | 26010 |
Cinebench R23 | 15900 |
価格(2023年9月現在) | 31,698円 |
ライバルとなる売れ筋モデル「intel Core i5 13400F」とも比較してみました。
総合的に見ると若干の差はあれど、ほぼ同じ性能かつ価格も変わらないという結果になりました。どちらもこの性能であればゲームプレイから動画編集まで困ることはないでしょう。
しかし、どちらのモデルも「Ryzen 7 5800X3D」や「intel Core i5 13500」という上位モデルが約1万円予算をプラスすれば購入でき、性能も大幅に向上するため、微妙な立ち位置ではあります。
Ryzen 5 7600が向いている用途
「Ryzen 5 7600」は結局どのような用途に向いているのか簡単にまとめるとこうなります。
用途 | 解説 | 評価 |
インターネット(動画閲覧・ショッピング) | YOUTUBE等で動画を観ながらの、ショッピング | |
ビジネス(Officeソフト・Web会議など) | Officeソフトでの資料作りをしながらの、Web会議 | |
ゲーム | 3Dグラフィックを駆使した流行りのゲーム | |
動画・画像編集 | フルHD・4Kでの動画や画像編集 またはゲームの動画配信 | |
3D制作 | 3D CADやBlenderなどを使用した3Dモデリング |
上記を踏まえて結論を言うと「ゲームやクリエイティブな作業も高水準にこなせるCPU」です。
相性の良いグラボの目安は「Ryzen 5 7600」に対してボトルネックにならない「RTX 4060Ti」あたりが理想的です。
ネットサーフィンやビジネスソフトなどの普段使いで困ることはありません。重めのゲームもフルHDであればかなり快適に動作します。
6コア12スレッドのエントリーモデルながらも、前世代のミドルクラスに引けを取らない性能のため、なるべく価格を抑えて性能の高いPCを組みたい方に優しいCPUです。
Ryzen 5 7600シリーズ搭載おすすめPC
ここでは「Ryzen 5 7600」シリーズを搭載したゲーミングPCを紹介します。
搭載グラボによってプレイできるゲームの環境が変わるので、自身の求めるGPUのパワーと予算に合わせて選んでみてください。
BTOのCPUの在庫状況などによっては搭載されているCPUが変更になることがあります。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
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DAIV FX-A5G1B | Ryzen 5 7600 | GTX 1650 | 16GB | 500GB SSD |
G-Tune FZ-A5G60 | Ryzen 5 7600 | RTX 4060 | 16GB | 1TB SSD |
G-Tune FZ-A5G6T | Ryzen 5 7600 | RTX 4060 Ti | 16GB | 500GB SSD |
DAIV FX-A5G1B【Ryzen 5 7600 + GTX 1650】
クリエイターモデルのローミドルクラスに位置し、写真・動画・イラスト制作などをちょっと高水準に行いたい方に向いています。
「Ryzen 5 7600」自体が、クリエイター向けのソフトを動かすのに十分な性能を備えているので、あとはグラフィック処理が追いついてさえいれば良いため、「GTX 1650」を搭載しています。
4Kなどのイラスト制作や動画編集をする場合には、メモリを32GB以上にする必要がありますが、基本的な作業はなんでもこなせるので、クリエイター用PCの入門機として最適です。
G-Tune FZ-A5G60【Ryzen 5 7600 + RTX 4060】
グラフィック : RTX 4060
メモリ : 16GB
ストレージ : 1TB Gen4 SSD
最新ゲームをプレイするためのゲーミングPCとして十分なスペックを持ったモデルです。
「Ryzen 5 7600」に「RTX 4060」の組み合わせは、フルHD環境で色んなPCゲームをプレイするのに適しています。ストレージが標準で1TBと大容量のため、いろんなゲームをプレイする予定の方にもおすすめです。
もし予算に余裕があってもう少し上のスペックを求めている方は、後述する「G-Tune FZ-A5G6T」を+1万円で購入できるので参考にしてください。
G-Tune FZ-A5G6T【Ryzen 5 7600 + RTX 4060 Ti】
グラフィック : RTX 4060 Ti
メモリ : 16GB
ストレージ : 500GB Gen4 SSD
先述した「G-Tune FZ-A5G60」のグラボを「RTX 4060Ti」にしたモデルです。
「RTX 4060」と「RTX 4060Ti」の性能差は、単純に約30%ほど変わってくるので、ハイスタンダードなゲーミングPCを求めている方はこちらの方が数年先を見据えられます。
SSDの容量が500GBな点だけ注意しましょう。もし多くのPCゲームをインストールする予定の方は、構成変更から増設することをおすすめします。
Ryzen 5 7600に関するよくある質問
- Ryzen 5 7600に対応したマザーボードは?
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Ryzen 5 7600の対応ソケットはAM5で、対応チップセットは「X670E」「X670」「B650E」「B650」「A620」となっています。
マザーボードのソケットとチップセットが一致していないと使えないため、事前に確認しておきましょう。
- Ryzen 5 7600は中古で購入しても大丈夫?
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CPUは故障しにくいパーツではありますが、Ryzen 5 7600を中古で購入するのはおすすめできません。
CPUは決して安い買い物ではないため、新品を購入するようにしましょう。
- Ryzen 5 7600の価格はどれくらい?
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2023年9月現在、Ryzen 5 7600の最安価格は29,800円ほどになっています。
- Ryzen 5 7600で『Apex』や『原神』などのゲームをプレイできる?
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『Apex』や『原神』といったゲームをプレイするには、Ryzen 5 7600以外にGPU性能が重要になります。
Ryzen 5 7600自体は内蔵GPUを搭載していますが、PCゲームを遊ぶにはスペック不足です。
そのため、ゲーム目的でRyzen 5 7600を選ぶ際は同時にグラフィックボードも搭載したパソコンを選びましょう。
GPU(グラフィックボード・グラボ)について詳しく知りたい方は「GPUとは何か」の記事を参考にしてください。
- Ryzen 5 7600の消費電力は?
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Ryzen 5 7600の消費電力はアイドル時が約80W、高負荷時が約360Wです。
このクラスのスペックにしては低消費電力なCPUですので、省電力なパソコンを使いたい方に向いています。
Ryzen 5 7600比較まとめ
今回の記事では「Ryzen 5 7600」の性能を解説し、同シリーズを搭載したおすすめPCを紹介しました。
以下おすすめモデルのおさらいと、まとめです。
おすすめモデル | CPU | GPU | メモリ | ストレージ |
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DAIV FX-A5G1B | Ryzen 5 7600 | GTX 1650 | 16GB | 500GB SSD |
G-Tune FZ-A5G60 | Ryzen 5 7600 | RTX 4060 | 16GB | 1TB SSD |
G-Tune FZ-A5G6T | Ryzen 5 7600 | RTX 4060 Ti | 16GB | 500GB SSD |
- エントリークラスながら前世代のミドルクラスに匹敵するスコア
- 消費電力も低めだが、高負荷時の発熱は高い
- ビジネスからゲームプレイまで十分快適に動作する
- なるべく価格を抑えつつ、性能を求める方におすすめ
7000シリーズのエントリークラスながら、かなり高水準な動作が可能なCPUである「Ryzen 5 7600」は、省エネかつ低価格も実現している優秀なモデルです。
ただし、価格に対してのゲーミング性能だけを考えると、少しだけ予算を足せばAM4ソケットで動作しゲーミング性能に特化した「Ryzen 7 5800X3D」が優秀なので悩みどころではあります。
とはいえ、AM5対応マザーボードで試しに使ってみたいCPUとしては十二分に能力を発揮できるでしょう。よほどハードな使い方をしない限りはこのCPUで十分と筆者は考えます。
CPUカテゴリでは、その他のRyzenCPUやIntelCPUの比較を行っているので、気になった方はぜひチェックしてみてください。