最近のPCやスマホのカタログや発表で、CPUの性能について「オクタコア」という言葉を聞いたことはありませんか?
デュアル、クアッド、ヘキサ、オクタはいずれも数を表す言葉ですが、オクタコアは文字通り「コア」が8つあるという意味になります。
この記事では
をわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
コアとは何か?
コアとはCPU(中央演算処理装置)の中心となる部分です。
CPUは言うまでもなくPCやスマホの頭脳であり、性能の良し悪しを決める重要なパーツです。
CPUがレストラン全体だとすれば、コアはコックということになります。
コックの人数が多ければそれだけ様々な注文をこなせるようになるので、最近のPCやスマホではコア数を増やして性能を上げているというわけです。
コア数が複数あるCPUのことをマルチコアプロセッサと呼びますが、デュアルやクアッドなどはコアの数をギリシャ数字に言い換えたものです。
デュアル=2、クアッド=4、ヘキサ=6、オクタ=8となり、馴染みがないと意味はわかりにくいかもしれませんが、コンピュータ業界ではよく使われる言葉です。
コア数 | 特徴 | おすすめ作業 |
---|---|---|
デュアル、クアッド(2,4コア) | 低コスト、エントリー向け | WEBブラウジング、オフィス系ソフト |
ヘキサコア(6コア) | 比較的安価、ミドルモデルに多い | ゲーム、軽い動画編集 |
オクタコア(8コア) | 性能と価格のバランスがよい | 快適なゲーミング、動画編集 |
10コア以上 | 高コスト、高パフォーマンス | 高度な動画編集、3DCGのレンダリング |
マルチコアのメリット、デメリット
コア数が増えることで実際にどんなメリットがあるのか紹介していきます。
複数の作業を同時に処理できる
音楽を流しながら写真編集をする、ブラウザで調べ物をしながらチャットもするなど複数のソフトを同時に立ち上げても処理速度が落ちにくくなります。
シングルコアでも同時にソフトを立ち上げることはできますが、負担の大きいソフトがあると他のソフトは動作が遅くなってしまいます。
マルチコア対応ソフトでは処理速度が上がる
マルチコアに対応したソフトでは処理速度が上がります。
特に多くの計算を必要とする動画編集など高負荷のソフトではマルチコア対応が進んでいるので、将来的にはより早く作業することが可能となります。
消費電力、発熱量が下がる
コアは負担がかかると消費電力と発熱量も上がります。
マルチコアはクロック周波数を上げずに並列処理を可能とすることで、消費電力をと発熱を大幅に軽減しています。
このことはCPUの寿命の延長、ノートPCであればバッテリーの駆動時間の向上にも繋がります。
特にスマートフォンでは発熱を抑えるためにマルチコアの搭載が進んでいます。
価格が高い
コア数が増えるほど価格は上昇する傾向にあります。
コックが増えれば人件費がかさむのと同じです。
ヒマなレストランで多くのコックが必要ないように、PCで行う作業によっては持て余してしまうこともあります。
すべての作業を高速化できるわけではない
マルチコアが活かせるかどうかは、ソフトがマルチコア用にプログラムされているかによって決まります。
Adobe Premiere Proなどの動画編集ソフトや3DCGを作成するソフトではマルチコアの恩恵を多大に受けることができます。
一方WordやPowerPointなどのビジネス系ソフトはコア数の影響をあまり受けないので、恩恵は少なめです。
またウェブでNetflixを観るだけであればオクタコアは必要ないので、PCで何をするかを重視してコア数を決めるとよいでしょう。
スレッドとコアの違いとは?
マルチコアと同時によく聞くのがマルチスレッドです。
CPUの性能欄にはたいていコア数と同時にスレッド数というものも記載されています。
「10コア20スレッド」のように表記されますが、このスレッドとは「論理コア数」とも呼ばれ、実際のコアの倍の数をPCに認識させて作業効率を上げるためのものです。
レストランで例えるならば一人のコックが2種類のジャンルの料理ができるようなものです。
厳密に言えばコア毎に役割が決まっているわけではないのですが、要は一人のコックで二人分の働きができるようになったと考えてください。
イタリアンを作れるコックが中華も作れるようになり、レストラン全体で見れば二人のコックを雇っているのと同じ作業ができるという状況です。
パスタを茹でている間にチャーハンを炒めることができるので、時間の短縮が可能となり、PCの処理速度がさらに速くなります。
ただし、あくまでもコックの数が増えているわけではないので、イタリアンのコックが注文でいっぱいのとき(PCの負荷が大きい)は中華を作ることはできません。
スレッドが多いからといって、どんな作業でも高速化するわけではないということは覚えておきましょう。
クロック周波数との関係は?
CPUの性能の目安としてクロック周波数というものがあります。
動作周波数とも言いますが、簡単に言うと1秒間にどれだけ計算できるかということを表しています。
単位はHzで、2.5GHzや5GHzのように表記されます。
クロック周波数はコックの作業スピードです。
コックAはチャーハンを1時間に4つ作れますが、コックBは8つ作れると例えるとわかりやすいでしょう。
コア数が一つしかなかった時代にはクロック周波数を上げることで性能を向上させてきましたが、無限に上げられるわけではありません。
そのため近年のPCではコアの数を増やすことでトータルの処理速度を向上させています。
コア数の選び方
作業を効率化し、デバイスの寿命も伸ばしてくれるマルチコアですが、実際に向いている使い方を紹介していきます。
コア数 | 特徴 | おすすめ作業 |
---|---|---|
デュアル、クアッド(2,4コア) | 低コスト、エントリー向け | WEBブラウジング、オフィス系ソフト |
ヘキサコア(6コア) | 比較的安価、ミドルモデルに多い | ゲーム、軽い動画編集 |
オクタコア(8コア) | 性能と価格のバランスがよい | 快適なゲーミング、動画編集 |
10コア以上 | 高コスト、高パフォーマンス | 高度な動画編集、3DCGのレンダリング |
デュアル、クアッドコアは軽作業用
エントリーモデルに多く搭載されているコア数です。
WEBブラウザの利用やWord、Excelなどの比較的ライトな作業に向いています。
価格も安いので、PCで複雑な作業をしない方にはおすすめです。
ヘキサコアはゲームや動画編集
動画編集ソフトを使う、ゲームをよくするという方はヘキサコアがおすすめです。
動画編集ソフトはマルチコアで性能を発揮できるように設計されているものが多いので、これらのソフトをよく使う方はヘキサコア以上を選択しましょう。
事実、「動画編集用のクリエイターPC」には高性能なCPUが搭載されていることがほとんどです。
オクタコアは快適で価格とのバランスがいい
多少ヘキサコアよりも値段は上がりますが、受けられる恩恵は価格以上のものがあります。
画質や長さにもよりますが、デュアルやクアッドとオクタコアでは動画の書き出し速度は半分以下になるほど性能が違います。
ゲームでは映像やFPS(フレームレート)はグラボの影響を多大に受けますが、グラボの性能を活かすのもCPU次第です。
ゲームをしながら配信するといった使い方もオクタコアになればより快適になります。
予算が許せばオクタコアを検討してみてください。
10コア以上
コア数に比例して価格も上がりますが、無類のパフォーマンスを発揮します。
特に4K解像度での動画編集や書き出し、あるいは3DCGのレンダリングはマルチコアの威力を最大限発揮する機能なので、クリエイターの方や高負荷の作業をする方にはおすすめです。
マルチコアについてよくある質問
- オクタコアの次はなんですか?
-
オクタ=8の次はデカ=10となります。
実際に10コア以上のCPUは発売されていますが、価格が高くなるので現段階ではオクタコアが価格と性能のバランスが優れています。
- コアの数はどこまで増やせるんですか?
-
現在市販されているものでもっともコア数が多いのは「AMD Ryzen™ Threadripper™3990Xプロセッサー」の64コア128スレッドになります。
値段も怪物級で53万円ほどとなります。
もっともこのレベルのCPUを必要とする方は完全なる映像のプロ、スタジオ所属の方ぐらいなので、一般的にはオクタコアでほとんどの作業をまかなえます。
- マルチコアは意味ないって聞いたけど?
-
マルチコアはソフトが対応して初めて意味があると言われていますが、実際は対応していないZIPの圧縮、解凍作業やMP3のエンコードなども早くなることが確認されています。
CPUの寿命が伸びたり、デバイスのバッテリーが伸びることもメリットの一つでしょう。
マルチコアについてまとめ
- コア数はコックの人数、増えるほど処理が楽になる
- スレッドが増えると、処理速度をさらに向上させることができる(一部例外もあり)
- 動画編集やゲームをする方はマルチコア一択
以上マルチコアについて解説してきました。
PCで高負荷の作業をする方はマルチコアの恩恵を余すことなく受けることができます。
一方、PCでウェブブラウジングなどのライトな作業がメインの方はマルチコアよりもトータルのバランスを重視することをおすすめします。
デバイスは使い方を決めてからそれに合うスペックを選ぶのが基本です。
自分の用途と照らし合わせて最適なデバイスを選びましょう。
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