「内蔵GPU」とは、GPUの機能の一部をCPUに内蔵したものです。
「内蔵GPU」と「GPU」の違いは、PCでゲームを快適に遊んだり、効率よく動画編集などをする上で知っておくべき重要なキーワードなのでしっかり理解しましょう。
この記事では、「内蔵GPU」と「GPU」の違いや内蔵GPUのメリット、デメリットを解説します。
CPUとGPUの関係性を整理しよう
「内蔵GPU」について知る前に、CPUとGPUの関係性について整理しましょう。
CPUは計算や命令を各パーツに出す頭脳的な装置のことで、GPUはグラフィックを処理する装置のことです。
CPUとGPUは、お互いに得意分野を分けて同時に動くことで、効率よくコンピューターを動かすための最重要パーツです。
CPUとGPUについては、以下のページで詳しく解説しています。
内蔵GPU=CPUに内蔵されたGPU=オンボードグラフィック
一般的にGPUとは「グラフィックボード」と呼ばれ、拡張カードとしてPCに付けるパーツになります。
「内蔵GPU」とは、グラフィックボードから一部のグラフィック処理機能だけをCPUに内蔵させたものです。
「オンボードグラフィック」とも呼ばれていて、グラフィックボードがなくても画面出力ができるCPUのことになります。
つまり、内蔵GPUとは「CPUの機能の一部」なのです。
内蔵GPUは、主にIntelとAMD製CPUの一部に搭載されています。
IntelとAMDの内蔵GPUの傾向
内蔵GPUはすべてのCPUに搭載されているわけではありません。
CPUメーカーのIntelとAMDでも傾向が違います。
- IntelのCPUには基本的にGPUが内蔵されています。
- AMDのCPUには基本的にGPUが内蔵されていません。
PCを自作しようとしている人には、次の組み合わせをおすすめします。
- ゲーム用途なら「CPU(内蔵GPUなし)+グラフィックボード」
- ビジネス用途なら「CPU(内蔵GPUあり)のみ」
もちろん「CPU(内蔵GPUあり)」と「グラフィックボード」の両方を搭載しても構いませんが、併用するメリットは特にありません。
内蔵GPUとグラフィックボードの違いは「圧倒的な性能差」
内蔵GPUとグラフィックボードには、ゲームや動画編集などの重たい処理で圧倒的な性能差があります。
内蔵GPUとグラボの性能比較
内蔵GPUとグラフィックボードの性能差を、ゲーミング性能を表すベンチマークスコアを使って解説します。
まずはNVIDIA GeForceグラフィックボードのローエンドからハイエンドまでのスコアをチェックしましょう。
スコア3000以上なら重めのゲームでも動かせます。
グラフィックボード | 3DMark | グレード |
---|---|---|
RTX 3090 | 19930 | ハイエンド |
RTX 3080 | 17704 | ハイエンド |
RTX 3070 | 13748 | ミドル~ハイエンド |
RTX 3060 | 8650 | ミドルレンジ |
GTX 2060 | 7603 | ミドルレンジ |
GTX 1660 | 5477 | ローエンド~ミドルレンジ |
GTX 1650 | 3620 | ローエンド |
続いてIntel 第11世代のCPUに内蔵されているGPUのスコアを見てみましょう。
内蔵GPU | 3DMark | グレード |
---|---|---|
UHD Graphics 750 | 724 | ミドル〜ハイエンドCPUに内蔵 |
UHD Graphics 630 | 453 | 旧世代ハイエンドCPUに内蔵 |
UHD Graphics 620 | 351 | 旧世代ローエンドCPUに内蔵 |
データを見てわかる通り、ハイエンドCPUの内蔵GPUは、ローエンドのグラフィックボードGTX1650にさえ負けます。
アーキテクチャが変わって内蔵GPUのパフォーマンスが上がったUHD Graphics 750でさえ、グラフィックボードとは5倍〜28倍もの性能差があるのです。
このデータではっきりわかるのは、内蔵GPUだと複雑なグラフィック処理が必要な3Dゲームを快適に遊べないということです。
内蔵GPUのメリット・デメリット
メリット1:消費電力と発熱が少なく静音
グラフィックボードは高性能なため、消費電力が高くて発熱も多くなります。
発熱を抑えるため、主にファンを回転させて風を送って冷却しますが、冷却機能が足りないパソコンだとそれなりの騒音がします。
一方内蔵GPUは性能を抑えているので少ない電力で動き、発熱も少なく静音化が容易です。
メリット2:パソコン本体を小型化できて価格も安い
グラフィックボードが不要なので、パソコン本体を小型化できます。
部品数を少なくできるので、パソコンの価格も安くなります。
デメリット1:ゲームや動画編集能力が圧倒的に低い
ゲームや動画編集のような重たい処理は高い処理能力が必要で、内蔵GPUよりもグラフィックボードの方が圧倒的に有利です。
内蔵GPUの性能は年々上がっていますが、グラフィックボードの性能も比例して上がってます。
さらにゲームや動画編集などに求められる能力も年々上がっているので、両者の性能差はいつまでたっても埋まりません。
デメリット2:メモリ共有でパソコンの動作が遅くなる
GPUはメモリ上の連続したデータを処理するのが得意で、CPUはランダムに配置されたデータを処理するのが得意です。
それぞれに適したメモリ(GDDRとDDR)があって、内蔵GPUは本来GPUには向いていないメインメモリをCPUと共有するので、単純にパソコンのデータ処理の動作が遅くなります。
内蔵GPUの確認方法
現在使用しているパソコンに搭載されているGPUを確認するためには、以下の手順で確認します。
画面左下の検索欄に「dxdiag」と入力すると検索結果で「dxdiag」という実行ファイルが表示されるのでアイコンをクリックします。
もしメニューバーに検索窓が無い(設定で非表示にしている)場合は、ショートカット(Windowsボタン+R)で「ファイル名を指定して実行」を呼び出して「dxdiag」と入力・実行してください。
「ディスプレイ」タグを選択し、デバイスの「名前」の欄にGPUもしくは内蔵GPUが記載されています。
3DMarkでこのGPU名を検索すれば、ベンチマークスコアを確認できます。
まとめ:内蔵GPUでゲームはできる?
- 内蔵GPUはグラフィックボードよりもかなり性能が低い
- ブラウザゲーなど処理の軽いものであればプレイ可能
- Netflixなどの映像鑑賞、Officeアプリを使ったビジネス用途なら問題ない
内蔵GPUについてまとめると、上記のようになります。
本当に軽いブラウザゲームならできますが、99%以上のPCゲームを快適に楽しめるレベルではありません。
ゲームに全く興味のないユーザーは、あえてGPUのことを気にする必要はありませんが、PCで快適にゲームをしたいのなら、グラフィックボードは必須と考えておきましょう。
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