今回の記事では「イラストを制作する程度だったらグラボって必要ないでしょ?」「逆にグラボが必要なイラスト制作ってどんなものがある?」といった疑問に答え、おすすめのクリエイター向けパソコンも紹介します!
上記のポイントに興味がある方はぜひ参考にしてください。
また、当サイトでは「クリエイターPCおすすめ」記事も紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
グラボ(グラフィックボード・GPU)とは
グラボ・GPUは、PCの中でグラフィックの処理を担当するパーツのことで、モニターに映し出される画像や映像は、グラボやGPUが無ければ表示させることが出来ません。
グラフィック処理をするものはおおまかに「GPU(Graphics Processing Unitの略で、画像処理装置)」と呼ばれます。
その中でも、単体でグラフィック処理に特化したパーツのことを「グラフィックボード(グラボ)」。CPUに内蔵されているグラフィック処理機能のことを「内蔵GPU」と呼びます。
グラボはグラフィック処理に特化している構造のため、内蔵GPUよりもはるかに性能が高く、価格も高いことが特徴です。
内蔵GPUは、そこまで負荷がかからない動画鑑賞や軽いイラスト制作などをこなせるので、なるべく価格を抑えたいからグラボ非搭載で内蔵GPUに映像処理を任せるモデルに採用されています。
グラボ(グラフィックボード・GPU)の役割
GPUの役割は、単に画像や映像をモニターに映し出すだけでなく、3Dグラフィックの描写やマルチモニターの出力なども担当します。
特にゲーム内グラフィックの質はGPUの性能が求められ、GPUの性能が良いほど画質が良くなりヌルヌルと滑らかな描写が可能になります。
また、イラスト制作においても高解像度(サイズが大きいキャンパス)イラストや、AIによるイラスト生成にもGPUの性能によって作業効率が変わってきます。
マルチモニターを使用する場合にも、それぞれのモニターにキレイな画面を映し出すためにGPUの性能は求められるので、GPUはモニターに映し出すあらゆるものの品質に関わってくると言えます。
イラストを制作するPCにグラボはいる?いらない?
結論から言うと「どんなに安くてもグラボを搭載したほうが良い」です。
グラボがなくてもイラスト制作自体はアプリケーションのスペックさえクリアしていれば可能ですが、内蔵GPUでどんなイラスト制作も快適に行えるかというとそうではありません。
イラストの素材用として3DモデルやAIのイラスト生成を使用する場合などには、グラボの処理能力が無ければそもそも素材を読み込めない場合があります。
また、2Dイラストの制作時でもグラボがあればレイヤーの切り替えなどがスムーズになるので、作業効率がアップします。
そのため、2Dイラストだけをこの先もずっと今のパソコンでやり続けるという方は、グラボはなくても問題無い場合が多いですが、将来的に3Dモデルも触ってみたいという方はグラボはあったほうが良いでしょう。
イラストを制作するPCにグラボがいる人・いらない人
イラスト制作で3D素材を使用する場合はグラボが必須
2Dイラストのみの環境で作業する場合はグラボは必要ない場合が多いですが、3Dモデルから素材を使用したり、MMDやVtuber用のモデリングをする場合はグラボが必要です。
グラフィックを動かしたり、立体的な表現をするとグラフィック処理は急に負荷が上昇するので、グラボなし環境でも作業ができることもありますが、快適に作業ができるとは言えません。
多くのレイヤーを頻繁に切り替えたりする場合にもグラボがあるとスムーズになるので、イラスト制作にはグラボはあったほうが良いでしょう。
AIイラスト生成をローカルで使用する場合もグラボのパワーが必要
今の時代、AIにある程度の指示を出して様々なイラストを生成できる時代になりました。
基本的にブラウザ上でもイラスト生成できますが、ユーザー数が多いためサーバーが重くてなかなか生成できないこともあるので、PCに生成アプリをインストールしてAIイラスト生成を行う方も多いです。
そういった場合に必要となってくるのがグラボの性能です。
内蔵GPUではとても処理しきれないほどの負荷がかかるので、ゲーム用に使われるようなグラボでないとローカルAIイラスト生成は現実的ではありませんが、ゲーム制作などで多くのイラストを必要とする方には、飛躍的な作業時間の短縮になります。
液タブを利用する場合はグラボがあった方が良い
液タブ環境でもグラボがあると大きなメリットがあります。
家具などの3Dモデルからラフ画を抽出して背景に用いたり、パースを使用した背景に配置するキャラクターのアタリを取ったりと、3D素材を使用したイラスト制作は、今や常識と言えるほど多くの方が利用しています。
特に液タブは3Dモデルの操作が非常に快適なので、サクサクと動作するスペックがあれば作業効率も上がります。
また、4K解像度対応の高性能な液タブを使用する場合も、高解像度のイラスト処理はグラボがないとまともに行えないのでグラボは必須です。
WQHDや4Kなどの高解像度はグラボが必要
フルHDでのイラスト制作であれば、内蔵GPUでも十分な場合が多いですが、WQHDや4Kなどの高解像度でのイラスト制作にはグラボが必要になってきます。
解像度が上がると、ドットが細かくなり非常に精密なイラストが描けるようになりますが、それに伴ってドットの処理などに負荷がかかるので、グラフィックボードのパワーが無いとサイズ変更やレイヤー移動にカクつきが生じることがあります。
更にそこから3D素材を使用するとなると要求スペックが上がるので、高解像度でのイラスト制作にはグラボが必須と言えます。
クリスタを使用する場合はできればグラボを搭載する
CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)を使用する際にもグラボがあると非常に快適になります。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)の動作環境
OS | Windows 8.1 Windows 10 Windows 11 |
CPU | Intel AMD ともにSSE2対応のCPU 筆者の推奨CPU:Intel 第10世代以上 / AMD Ryzen 3000シリーズ以上 |
GPU | OpenGL 2.1に対応したGPU 筆者の推奨グラボ:GTX 1650以上 |
メモリ | 8GB以上 筆者の推奨メモリ容量:16GB以上(4Kで作業するなら32GB以上) |
ストレージ | 3GB以上の空き容量 筆者のおすすめストレージ:SSDまたはM.2SSDの1TB以上 |
クリスタの推奨動作環境は上記のような記載がありますが、このスペック通りのパソコンは今となっては化石レベルの超低スペックPCなのでおすすめできません。
特にクリスタは3D素材も活用できるように作られているソフトで、3Dデッサン人形という大変便利な機能があるので利用しない手はありません。
そのため、快適にクリスタを活用するのであればグラボがあるのが理想です。おすすめのグラボは上記のGPU項目にある「筆者の推奨グラボ」を参考にしてください。
もちろんRTX 3000シリーズ以上のグラボでも、クリスタで使用するにはオーバースペックとなりますが高解像度のイラストもサクサク処理でき、「RTX 3060」はVRAMが12GBと大容量なのでクリエイター用グラボとしてもおすすめです。
【検証】クリスタで3Dモデルを使ったときのグラボの挙動
実際にグラボを搭載したパソコンでクリスタ(CLIP STUDIO PAINT)を使っている筆者が、クリスタで3Dモデルを使ったときの快適さを検証しました。
検証した環境は、以下のとおりです。
環境 | |
---|---|
アプリケーション | CLIP STUDIO PAINT EX(Verasion 1.12.8) |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1660 6GB |
CPU | AMD Ryzen 5 3600 |
メモリ | 32GB |
液晶タブレット | Wacom Cintiq 16 |
モニター | 4Kモニター |
アプリケーションはCLIP STUDIO PAINT EX、グラボ(GPU)は廉価モデルのGTX 1660を使用しました。
クリスタでのテスト
設定 | |
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キャンバスサイズ | B6サイズ |
解像度 | 350dpi |
操作 | 3DモデルをLT変換 |
今回は3Dモデル素材に対する操作として、「LT変換」という比較的グラボに負荷のかかるものを選びました。
LT変換は、3Dモデルがモノクロの線画とトーンに変換されるため、漫画などでよく使われる機能です。
【結果】クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)にはGTX 1650以上あると快適
結果 | |
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GPU使用率 | 41% |
GPUメモリ使用量 | 2.7GB |
GPU温度 | 42℃ |
結果、GPU使用率は41%と半分にも満たず、ほとんど待ち時間なくLT変換が終了しました。
GTX 1660と安い価格帯のグラボにもかかわらず、非常に快適に動作します。
液タブ(液晶タブレット)と4Kモニターを併用していることも加味すると、十分な結果といえるでしょう。
このテストからもわかるように、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)を快適に利用するには「クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)の動作環境」で紹介したとおり最低GTX1650以上のグラボを搭載することがおすすめです。
イラスト制作におすすめのPCモデル一覧
ここでは、イラスト制作に向けたモデルを中心におすすめのクリエイターパソコンを紹介します。
クリエイター向けに販売されているノートPCは、ディスプレイも色域が高いものを搭載しているので、高画質モニターを別途用意しなくても良いためお得です。
利用する環境や予算に合わせて選んでみてください。
また、当サイトでは「パソコンで絵を描く人に向けたおすすめPC」も紹介しているので、もっと詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください!
【イラスト向け】raytrek R5-RL6
グラフィック : RTX 4060
メモリ : 16GB DDR4 SO-DIMM
ストレージ : 1TB NVMe SSD
BTOショップ「ドスパラ」のクリエイター向けモデルです。
クリエイターノートとして本格的な性能を持っており、「ストレスが生まれるPC環境でイラスト制作をしたくない」という方におすすめのスペックとなってます。
ペンタブの同時購入ラインナップは、どれも動作確認済みなのでこれらの商品とセットで用意すればすぐにイラスト制作を始められます。
【高性能CPU】DAIV 4P
グラフィック : Iris® Xe グラフィックス
メモリ : 16GB
ストレージ : 500GB Gen4 SSD
モニター :14インチ
重量 : 975g
バッテリー : 11.5時間
14インチとコンパクトサイズで場所を選ばずイラスト制作が行える「mouse」のクリエイター向けモデルです。
搭載CPUはIntelの第12世代「Core i7-1260P」を搭載しており、12コア16スレッドの処理能力はどんなイラストアプリも快適に動作させることが可能です。
グラボは非搭載なので内蔵GPUでグラフィク処理を行いますが、「インテル Iris Xe」はある程度の3D処理をこなせる最新式の内蔵GPUなので、高解像度での3Dモデリングでもない限りは快適に作業が可能です。
【RTX 4060搭載】DAIV S4-I7G60CB-B
グラフィック : RTX 4060
メモリ : 32GB
ストレージ : 1TB NVMe SSD
モニター : フルHD 14.0インチ
重量 : 1.78kg
バッテリー : 13.5時間
メモリ32GB、第13世代Intel製CPU、RTX 4060の組み合わせは、AIによるローカルイラスト生成や4Kなどの高解像度での作業にぴったりです。
また、高解像度の画像・動画編集にも十分対応できる高スペックモデルなので、クリエイターとしての活動に支障が出ないレベルと言っていいでしょう。
価格はやや高めですが、それに見合う安定した環境は約束されているため、イラスト制作だけでなく3Dモデリングも視野に入れている人はこのモデルがおすすめです。
クリエイターは大量のデータを扱うことが多いので、ストレージを手軽に増設できる外付けSSDも同時に用意することで、資料用のストレージとして持ち運ぶなど用途が広がります。
イラスト制作するPCにグラボは必要かまとめ
- 3D素材の使用やモデリングをしないのであれば無くても良い
- イラストアプリの全体的なパフォーマンスが向上するので、安くてもいいからグラボがあると捗る
- 高解像度のイラストや、3D素材を活用するならグラボが必要
イラスト制作は、ゲーミングPCに比べればかなり要求スペックは低いですが、それでも快適にどのようなイラスト制作を行えるスペックを求めると、エントリークラスのゲーミングPCくらいは必要になります。
高解像度や大きなポスターサイズのイラスト、3Dモデルを駆使したデザインなどには「DAIV S4-I7G60CB-B」クラスのスペックが必要なのでグラボは必須と言えます。
重要なのは自分がどのようなイラスト制作をしたいかによるので、本記事を参考にして理想のクリエイター環境を作ってみてください!