今回の記事ではRTX 4000シリーズのアッパーミドルクラスとして発売された「RTX 4060 Ti」について、PCゲーマーの目線でレビューしていきます。
上記の内容について具体的に紹介していくので、「RTX 4060 Ti」のベンチマークや他モデルとの比較。搭載PCや「RTX 4060 Ti」の各メーカーモデルも気になっている方は参考にしてください。
「RTX 4060 Ti」性能・ベンチマーク比較
GPU | 3DMARKスコア | TGP(総消費電力) | 希望小売価格 |
---|---|---|---|
RTX 4090 | 35626 | 450W | 1499ドル |
RTX 4080 | 28056 | 320W | 1199ドル |
RTX 4070 Ti | 22637 | 285W | 799ドル |
RTX 4070 | 17958 | 200W | 599 ドル |
RTX 4060 Ti | 13520 | 160W | 8GBモデル:399 ドル 16GBモデル:499 ドル |
RTX 3090 | 19930 | 350W | 1499ドル |
RTX 3080 Ti | 19573 | 350W | 1199ドル |
RTX 3080 | 17704 | 320W | 699ドル |
RTX 3070 Ti | 14825 | 290W | 599ドル |
RTX 3070 | 13748 | 220W | 499ドル |
RTX 3060 Ti | 11856 | 200W | 399ドル |
RTX 3060 | 8833 | 170W | 329ドル |
RTX 3050 | 6865 | 130W | 249ドル |
GTX 1660 Ti | 6821 | 120W | 279ドル |
GTX 1660 SUPER | 6103 | 125W | 229ドル |
GTX 1660 | 5771 | 120W | 219ドル |
GTX 1650 | 3620 | 75W | 149ドル |
GTX 1050 Ti | 2356 | 75W | 139ドル |
RTX 4060 Tiは、4000シリーズの中ではミドルクラスに位置し、前世代のRTX 3070くらいのスペックを持っています。
単純にRTX 3070と同スペックというだけでなく消費電力も抑えられているので、ワットパフォーマンスが優れているのも本モデルに限らずRTX 4000シリーズの特徴です。
特に『ホグワーツレガシー』『Cyberpunk2077』などのビッグタイトルは、グラフィック負荷が高いゲームながらDLSS 3に最適化されているので、WQHDでも60fpsを安定して維持できます。
ただし、4Kで全てのゲームをプレイするにはスペック不足なので、基本的にフルHD~WQHDで遊ぶのが最適のグラボでしょう。
RTX 3060Tiから純粋にスペックアップして、消費電力が下がっているので優秀なグラボです。
「RTX 4060 Ti」の価格推移
「RTX 4060 Ti」の2023年5月発売当初から今までの価格推移をまとめました。
2023年5月に発売されたRTX 4060 Tiのスタート価格は69,800円となりました。
各販売店は5月24日の22:00より深夜販売を行いましたが、予想を遥かに下回る売れ行きだったようで、数日たった5月31日現在で早くも定価より1,000円~2,000円ほど安くしているところが出てきています。
原因はフルHD運用がメインなら売れ筋グラボRTX 3060Ti(5月31日時点で53,000円)で十分というユーザーが多く、わざわざ乗り換えるほどの性能ではないところと、VRAM 16GBモデルの発売が控えているところでしょう。
純粋な性能で見ても、これからミドルスペックPCを購入したり自作する際の選択肢には入るかもしれませんが、買い替えやパーツ交換でRTX 3060Tiとの違いをあまり実感できないというところがネックです。
そのため、今後は8GBモデルの価格がもっと下がる事が予想されます。なるべく安く購入するのであれば、今は様子見をして待っておくのが良いでしょう。個人的には60,000円あたりが買い時だと思います。
「RTX 4060 Ti」レビュー・評価
4000シリーズの大きな特徴としてワットパフォーマンス(消費電力に対する性能の高さ)が優れている点が挙げられます。
RTX 4060 Tiも例に漏れず前シリーズの同ナンバリングRTX 3060Tiより40WもTDPが下がり、スペックがRTX 3070並みに向上しています。600Wあたりで十分に電力の供給が可能です。
フルHDがメインとなる場合、格安のRTX 3060Ti(約53,000円)でも十分なためコスパ面で若干劣ります。+10,000円を出してもフルHD環境ではそこまで大きな性能差は出ません。
RTX 4060Tiが本領を発揮するのはWQHD解像度です。
激重ゲームとして有名な『Cyberpunk2077』でもDLSS 3の力でWQHD+60fps以上を安定して維持できるのは大きな魅力です。
そのため、フルHDに物足りなさを感じたので、WQHDメインにコスパよくグレードアップしたいという方におすすめのグラボと言えます。
「RTX 4060 Ti」搭載ゲーミングPC
ここでは「RTX 4060 Ti」を搭載したゲーミングPCを紹介します。
人気PCはほとんどのBTOショップで在庫が切れがちです。
そんな中「ドスパラ」「マウスコンピューター」は在庫が豊富なので、在庫状況と価格を鑑みて、この2つのショップからコストパフォーマンスの良いPCを厳選して掲載します。
RTX 4060 Ti+Ryzen 5 4500
約16万円と、格安CPU「Ryzen 5 4500」を搭載し価格を抑えたミドルスペックゲーミングPCです。
「RTX 4060Ti」のスペックを100%活かすにはCPUがボトルネックになる場合がありますが、動画配信をしながら高解像度でゲームをプレイするというわけでなければ、そこまで困ることはありません。
CPUのスペックが必要となるゲームジャンルは、人口の多いMMORPGやオープンワールドサバイバルなので、それらのゲームをプレイする予定の方は後述するCPUが高性能なモデルをおすすめします。
RTX 4060 Ti + Core i5-13400F
価格は約19万円で、最新世代のCore i5CPUを搭載しバランスの取れたモデルです。
10コア16スレッドのハイブリッドCPUは計算処理能力が高いので、「RTX 4060Ti」の力をまんべんなく引き出せるでしょう。
『ブループロトコル』『アーマードコア6』などの最新ゲームタイトルをWQHDで安定して遊べるので、数年先も最前線で活躍できるスペックがあります。
このクラスの構成であればWQHD解像度でどんなゲームをプレイしても、カクつくことはありません。フルHDから一歩踏み出してWQHDの世界を安定して堪能したいという方におすすめです。
RTX 4060 Ti + Core i7-13700F
価格は約22万円で、上位グレードの最新世代Core i7CPUを搭載した高性能モデルです。
16コア24スレッドCPUは高負荷な状況で特に本領を発揮します。サブコアがメインコアの補助をするハイブリッド構成なので、動画配信やオープンワールドゲームでのホストも難無くこなせます。
「RTX 4060Ti」とのボトルネックも全く心配ありません、ゲーミングPCはCPUの性能が高ければ高いほど周りのパーツを活かせます。
5年以上先を見据えられる「Core i7-13700F」を搭載した本モデルは、長年使用してもコアパーツを交換する必要がないという意味でコスパが良いと言えるでしょう。
「RTX 4060 Ti」おすすめグラボ
「RTX 4060 Ti」のおすすめグラボを各メーカーのモデル別に紹介します。
メーカーごとのグラボで大きく違うところは「オーバークロックモデルかどうか」「出力端子の種類や端子の数」です。
また、3連ファンと2連ファンモデルがあるメーカーもあり、それによってサイズも変わってくるのでPCケースのサイズとも相談しましょう。特に3連ファンは冷却性能が高いですが、長いのでサポートステーが必要になってきます。
自身が求める環境と照らし合わせて選んでみてください。
MSI
出力端子 | サイズ | オーバークロックの有無 |
---|---|---|
DisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1a×1 | 3連ファンモデル:308×120×43mm 2連ファンモデル:199×120×42mm | 有り |
大手PCパーツメーカーのMSIが生産するモデルで、2連ファンと3連ファンが揃っています。PCケースのスペースに余裕があり、冷却性能を重視するなら3連ファンがおすすめです。
2連ファンでも冷却性能は足りるので、価格を抑えたい方は2連ファンモデルがおすすめです。
MSIのグラフィックボードは、シンプルな見た目でコスパ重視のものから、LEDが光るゲーミングモデルが揃っており、耐久面に関しても実際に筆者がMSI製グラボを5年以上愛用しているため全く問題ありません。
また、「After Burner」という専用ツールでグラボのパワーやファン速度を調整でき、UIも見やすく操作しやすいので便利です。
GIGABYTE
出力端子 | サイズ | オーバークロックの有無 |
---|---|---|
DisplayPort1.4a×2、HDMI2.1a×2 | 301×128×56mm | 有り |
台湾を本拠地とする大手PC周辺機器メーカーで、日本でのシェアも玄人志向やMSIなどに並ぶほど広く親しまれています。
GIGABYTEグラフィックボード全てに言える特徴として、耐久性と冷却性能を重視した作りなところです。冷却ファンの静音性と風量の評価も高いので、静音性を重視したユーザーにも人気です。
本モデルの特徴は、バックプレートからも通気孔を設けてエアフローを重視しているところです。これにより放熱できる面積と排熱スペースを確保できるので一石二鳥の構造になっています。
ASUS
出力端子 | サイズ | オーバークロックの有無 |
---|---|---|
DisplayPort 1.4a×3、HDMI 2.1×1 | 227.2×123.24×49.6mm | 有り |
台湾を本拠地とするPC周辺機器を製造する大手メーカーで、ゲーミングブランドの「TUF GAMINGシリーズ」は、耐久性とコスパに優れているのでかなり人気があります。
本モデルは大きいヒートシンクのプレート部分に通気口を設けており、3連ファンの風量も相まって冷却性能が非常に高いのが特徴です。105℃で20,000時間の耐久テストに合格しているところもTUFシリーズの魅力と言えます。
また、「GPU Tweak III」という専用ツールにより、グラフィックボードのファンとパワーの制御を細かく設定することが可能で、オーバークロックモードや省エネモードなどを切り替えることも可能です。
RTX 4060 Tiに関するよくある質問
- RTX 4060 Tiの消費電力は?
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RTX 4060 Tiのゲーム中の平均消費電力は155Wです。
同クラスのスペックを持つRTX 3070は平均230Wなので、圧倒的にRTX 4060 Tiのワットパフォーマンス(消費電力あたりの性能)が高いことがわかります。
- RTX 4060 Tiの推奨電源は?
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RTX 4060 Tiの推奨電源は600Wです。余裕を持って650Wの電源を用意するのが理想的です。
電源が不足するとトラブルやパフォーマンス低下の原因となるため、余裕を持った電源ユニットを使いましょう。
- RTX 4060 Tiの発売日はいつ?
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RTX 4060 Tiは2023年5月24日に発売開始しました。
- RTX 4060 Tiのサイズは?
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3連ファンモデルの場合、おおよそ300×140×40mmです。
2連ファンモデルの場合は、おおよそ240×130×40mmです。
特に注意したいのがトリプルファンモデルです。長い分重量が上がりスペースを取るので、自作PCケースに組み込む場合は採寸をしっかりしておき、自重でグラボが歪まないようにサポートステーを用意しましょう。
- RTX 4060 Tiと近い性能のスペック比較が知りたい
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重量級かつ最適化が進んでいる『Cyberpink2077』で比較したデータを見ると、RTX 2080TiとRTX 3070がほぼ同等のスペックと言えます。
90fps以上も出ていれば、ぬるぬる動いていると感じるラインなので快適と言えるでしょう。
現在市場にまだまだあるRTX 3070(約70,000円)がライバルということになり、スコアだけはほぼ同等かもしれませんが、前述したようにワットパフォーマンスにより電源も節約できるのでコスパは圧倒的にRTX 4060Tiが優秀です。
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